追証の恐怖

追加保証金,略して追証になるようなトレードはしてはいけないということは誰もが知っているはずである。

株の信用取引を利用すると,証拠金の約3倍までのポジションを建てることができる。

なので,資金効率を上げるために信用取引を利用して証拠金の約3倍ほどのポジションを建てる人もいる。

これをフルレバレッジ,俗にフルレバともいうが,フルレバで建てたポジションは相当リスクが高い。

なぜなら,そのようなポジションがやられになったときには,簡単に追証になってしまうからである。

追証になれば,どこからか資金を調達してきて追加の証拠金を差し出さなければならない。

もし,それができなければ,ポジションを縮小するか,解体する必要があり,その過程で損失が発生することになる。

しかも,場合によっては最初の証拠金を越える損失が発生し,借金生活に陥るかもしれない。

そうなってしまっては,トレードを続けるどころの問題ではなくなってしまう。

トレーダーとして一番やってはいけないことは,トレード資金を失うことである。

失うだけではなく,ましてや借金まで抱えてしまっては話にならない。

大工が大工道具を失ってしまっては,仕事ができなくなるのと同じことである。

トレードを続けるために必要な資金は何があっても失ってはいけないのである。

もちろん,トレードは勝ち負けを繰り返しながらトータルでプラスになっていればいいので,トレードを続けられる範囲での損失は必要経費であり,そのような損失を出すことには何ら問題はない。

問題なのは,トレードを続けることができないような大きな損失を出すことである。

とにかく,日々トレードを続ける上で追証にならないように細心の注意を払いながらトレードをしているが,実は追証になったことがある。

株のトレードにおいてはリアルタイムに必要証拠金の額が分かるので,一度たりとも追証になったことはない。

ザラバ中に今のポジションを維持するのに必要な証拠金がリアルタイムに分かれば,当然,それをもとにリスク計算し,追証にならないようにリスク管理する。

しかし,ザラバ中にポジションを維持するための必要な証拠金の額が正確に分からないと,追証になる可能性がある。

実際,オプショントレードをしているとき,ポジションを維持するのに必要な証拠金をザラバ中に監視して追証にならないようにかなり気を付けてトレードをしていた。

しかし,それにもかかわらず,オプショントレードをしていて追証になってしまったことがある。

後で分かったことであるが,自分が使っている証券会社では,オプショントレードに必要な証拠金の正確な額はザラバが引けたあとの清算後にしか分からないことである。

そのことを知らず,ザラバ中その証券会社が提供するオプションツールのリアルタイム証拠金の額を見ながらリスク管理をしていた。

そのため,その額が正確でなかったために,ザラバ中にまだ証拠金余力がかなりあると判断してポジションを大きくしたところ,その日のザラバ引け後の清算で追証となってしまったのである。

その日はザラバ中にポジションを大きくしても,まだかなりの証拠金余力が残っていたので,なぜ追証になったのか,最初まったく理解できなかった。

自分がオプショントレードをするときは,オプション口座の証拠金の半分あたりまでは許容範囲でそれを越えてくると,やばいと思ってそれ以上リスクを取らないようにしたりしている。

しかし,ザラバ中に証拠金余力が半分くらいあったとしても,まったく油断できない。

その日の値洗い後に証拠金余力が残り3分の1くらいなってたりすることもある。

ポジションを維持するのに必要な証拠金がオプション用証拠金の3分の2を越えるようなことになると,相当危険な感じがするので,そうなったら,いかに証拠金を減らすかを考えるようになる。

このようにオプショントレードは損益の出方が株とは全く違っており,証拠金の管理においても株のように考えていては相当危険である。

ポジションがSQ時にいくら利益になるゾーンに今いたとしても,そのポジションを維持する証拠金がなければ,その時点でそのポジションは維持することができない。

実際,そのような場合が意外と多いと聞く。

とにかく,トレードする上で追証になるようなトレードだけは絶対にさけなければならない。